洋子の母親(恵子・36歳)がレイプされて妊娠したとき、洋子は16歳だった。
恵子は、自分をレイプした男に対して当然激しいまでの憎悪を抱いていた。
恵子は勿論、中絶しようと考えた。
しかし、洋子はある事を思いつき、その内容を恵子に話した。
「ねぇ、私ちょっと考えてみたんだけど、とりあえず子供を生んでみたらどう?」
恵子は洋子の言葉に驚いた。
「何言ってるの!? 絶対にイヤよっ!!」
洋子は、同じ女性として恵子の気持ちが分っていたが、
ある事を試してみたかった事もあり、なだめる様に話を続けた。
「ねえ、とりあえず話を聞いて。
彼がまだ小さい内に、私たちに逆らうことが出来ない様に人格を形成していくの!
そして、レイプ犯がお母さんにしたことの復讐をすれば良いのよ。
つまり、奴隷として調教するの。いや、待って、奴隷じゃつまんないわねぇ。
そうだっ! 奴隷以下の ”物” として彼を扱うのよ! どう?」
好奇心の塊のような洋子は、目をキラキラさせながら恵子に提案した。
これからの彼の人生において、何らかの報復が出来るという考えが恵子には良く聞こえたので、
恵子は赤ん坊を生むのに同意したのだった。
そして、この日は遅くまで、2人で今後の計画を立てていた。
9カ月後に、助産婦の資格を持つ恵子の姉妹の助けで、恵子は健康な男の子を自宅で生んだ。
そして、出生記録の類のものは一切作られなかった。
したがって法的には、彼はこの世に存在しないという事になる。
2人は相談し、彼を "志五人" と命名した。
「いい名前だと思わない? だって、五人を志すと書いてシートだもんね。」
洋子がニコニコしながら満足そうに言った。
「”名” は ”体” を表すって言うから、立派なモノになると思うわ。」
恵子も満足そうに言った。そして、更に付け加えた。
「五人を志すと書いてシートって言うことは、5人掛けのシートにするって事でしょ?
なんか、残酷ねぇ。でも、素敵!! ゾクゾクしちゃうわ。」
洋子は恵子の前向きな考え方を嬉しく思った。
「そうよ、おかあさん。これは復讐なの!! だから情け容赦なくコイツをシートにしちゃえばいいのよ!! しかも、私たちが最高に楽しみながらね。これからが楽しみだわぁ。」
普段は表に現れない女性が持つ特有の残酷性を、徐々にあらわにして来たのである。
恵子と洋子は、彼に対して愛を全く、そして、絶対に示す事は無く、2人が赤ん坊の為にしなければならなかった事だけをした。
ところが、日々の生活の中で、今更ながらに気づいたことがあった。
“志五人”は泣き声を上げなかったのである。
そう、"志五人" は口が聞けないという障害を持って生まれたのである。
これは、2人にとって非常にラッキーだった。
まるで、彼がそれらの明確な目的のために生まれて来たように思える程、
ほとんど完全な状況と言ってよかった。
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